新任の松田哲先生の自己紹介

 

現代社会学部の皆さん、こんにちは。松田哲(まつださとる)です。この4月に京都女子大学に赴任しました。よろしくお願いします!

自己紹介写真(松田) 私は関東で生まれ、小学校低学年の頃に鳥取県に引っ越し、小学校・中学校・高校の10年間を米子で過ごしました。その後、大学・大学院時代を神戸で過ごし、職を得てから京都に移ってきました。早いもので、京都生活は今年で18年目になります。でも、帰省先が米子であるせいか、アイデンティティの置き所は依然として鳥取にあるように感じます。鳥取とか山陰とかいう言葉を耳にすると、ついつい反応してしまいますね。

大学生の頃に関心をもっていたのは、環境保全の問題でした。それが大学院に入る頃には、途上国の開発と環境保全の両立の問題へと広がっていきました。「持続可能な開発」という言葉が流行し、ブラジルのリオ・デジャネイロで地球環境サミットが開かれた頃の話です。その後、環境保全よりも途上国開発の問題の方に関心が移り、いわゆる南北問題について考えるようになりました。

私は、現代社会学部の多文化理解実習のスリランカ担当になっています。スリランカに関心をもち始めたのは、「何か面白い開発モデルはないものか」といったことを考えていた大学院生の頃でした。でもスリランカを定期的に訪れるようになったのは、その10年後の2006年前後になってからでした。内戦末期の時期です。以来、スリランカのあちこちを訪れてきましたが、まだまだスリランカを知り尽くすにはほど遠い状況です。多文化理解実習に参加される皆さんと、現地で学べることを楽しみにしています。

ちなみにこの写真は、スリランカ北部のジャフナという町にあった、ジャフナ駅の構内で撮影してもらったものです。内戦で破壊され、鉄道の到着することのない廃墟になっていました。そのジャフナ駅は昨年新しい駅へと生まれ変わり、ジャフナはほぼ25年ぶりにスリランカ南部と鉄道で結ばれることになりました。ちなみに後ろのポスターの人は、この1月の大統領選挙で予想外の敗北を喫したラージャパクサ前大統領です。2015年のスリランカは、様々な変化の始まりにあるようです。

現代社会学科公開講座「国際協力と私―支援する女性と支援される女性―」の報告

2015年6月6日(土)に開催された公開講座「国際協力と私」について報告します。前日にルワンダから帰国し会場に駆けつけて下さった梶田さん、20年以上ケニアのガリッサでNGO活動を続けてこられた土方さんに、国際協力の現場を女性の視点から語って頂きました。

「女性の視点からみた国際協力」: 現代社会学部教授・戸田真紀子

「東アフリカの国々でのそれぞれのルール」: 青年海外協力隊元隊員、キガリ図書館ボランティア職員・梶田三佐江

「あなたの善意は届いていますか?」: ケニア政府公認NGO ミコノ・インターナショナル副所長・土方栄子

 

戸田は、日本がなぜ国際協力をしなければならないのか、国際協力のアプローチにジェンダーの視点をなぜ入れなければならないのかを説明し、近代化論からWIDアプローチ、GADアプローチへの変遷や、途上国の女性の置かれている状況などを話しました。

梶田さんからは、まず、東アフリカ共同体を構成するケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジについて、それぞれの国の経済状況や人びとの暮らしについてのデータが示されました。次に、所得が増加すると娘を学校に行かせる余裕が生まれ、女子教育の増加は生活の質と女性の地位を向上させ、それによって女性の社会参加が進み、女性の活躍は経済を更に成長させ、より所得が増加するという「経済成長とジェンダー」のサイクルについての説明がありました。そして、ルワンダにおける女性の環境改善への取り組みが紹介され、まとめとして、それぞれの国に沿った支援の必要性を次のように訴えられました。

  • 支援は一方的なものではなく、相手のニーズを取り入れたものでなければならないが、その主導は現地の人が行うのが良い。
  • 新しい取り組みに積極的な国民性とそうでない国民性がある。支援はそれを考慮した上で取り組まなければならない。
  • 現状の課題のみに囚われるのではなく、今日までの取り組みを評価し、効果的であった手法を更に広げることが大切である。
  • 長期的視点で取り組む必要がある。

最後に、土方さんから、ケニアの北東部に住むソマリ人の状況、学校建設・医療巡回・奨学金・井戸掘り・太陽光発電・植林・自動車整備士養成・ミシン教室といったミコノ・インターナショナルの活動内容、募金をした先進国の人びとの期待を裏切り無駄になってしまった援助事例についての話がありました。1986年に土方さんたちが初めてケニアの北東部の中心都市であるガリッサで校舎建設を行った際、現地の人たちと一緒になって工事をしている土方さんたちに対して、地元の学校の先生が次のようにおっしゃったそうです。「今まで多くの外国人がこの国へ来て、いろいろな援助活動をしてくれたが、ケニア人と一緒に汗を流したのはあなた方が初めてだ。私は大変感動している。」アフリカの人を助けようとボランティアを行った人は、逆にアフリカから大きな感動や喜びをもらって日本に帰ってきます。一方的に助けるのではなく、自分たちも助けてもらう活動。これが私たちの活動の原点だと土方さんは話されました。

 

  休憩時間にたくさんの質問用紙が集まりました。時間の関係で質疑応答に多くの時間が割けなかったことが残念でしたが、国際協力の現場で活躍されている日本人女性の話を聞くことは、学生の皆さんにも刺激になったことと信じています。たくさん本を読んで、自分を磨いていって下さい。

 

<当日の講師写真>

 

沢山のご来場に感謝申し上げます2 

↓日本のODAの成果を話す梶田さん

 

d↓ミコノ・インターナショナルの活動を説明する土方さん名称未設定

(文責 : 戸田真紀子)