奥井亜紗子 (おくい あさこ)

☆主な担当科目:家族社会学、社会調査演習Ⅰ・Ⅱ、社会データ処理基礎、データ処理論Ⅰ

☆専門領域:家族社会学、農村社会学、地域社会学

☆研究紹介:

私の研究テーマは主に以下2つです。

1.近現代日本の家族変動に関する実証的研究

 家と呼ばれる伝統的家族から都市サラリーマンの家族をモデルとする近代家族へ、という家族変動プロセスを、産業化にともなう農村と都市の関係性の変化を軸に実証的研究してきました。近代以降、農村社会は多くの人々を都市に送り出してきました。皆さんのなかにも、大学進学を機に郷里を出てきた人は少なくないでしょう。皆さんは卒業後、地元に帰るのでしょうか、それとも都会で就職するのでしょうか。一人娘や長女であれば、ご両親から家への責任について有形無形のメッセージを受け取っている人もいるかもしれません。そのメッセージに含まれる規範とは何か、郷里に帰ること、帰らないことをめぐる葛藤の根底にあるものは何か、といったことを念頭に、戦後の農村-都市移動者が郷里の実家や地域社会と取り結ぶ関係性、都会で形成する家族のあり様や家族意識などに焦点を当てて、アンケートとインタビューを組み合わせた追跡調査を行ってきました。

2.地方社会の構造と変化に関する実証的研究

 1 の中心テーマと並行して、地方社会の変容について研究を行っています。高度成長期以降人口流出が進む中、地方社会に留まった人々はどのような思いで地域を担ってきたのか、女性の生活は、離村者の残した墓は・・・といった具体的なテーマを掲げて、兵庫県農山村部を中心にフィールドワークを継続しています。

☆専門ゼミ:

卒論ゼミは社会学的知識をもとに卒業論文を作成する学生を対象とします。研究テーマは皆さんの問題関心に従って自由に設定して構いませんが、実証研究をベースとするため、アンケート、インタビューその他何らかの手法自分自身データを収集することが条件となります。そのため、本ゼミ受講生は社会調査演習の並行履修を義務づけられます。また社会調査スキルの基礎となる1回生後期の社会データ処理基礎は必ず受講するようにしてください。

他人にきちんと理解してもらえる文章を書くということは、想像以上に難しいものです。近い将来の就職活動や、その後社会人として生きていくうえで必要不可欠な文章作成能力を、卒論作成を通じて鍛えます。ゼミでは、「空気」ではなく「論理」で他人とコミュニケーションを取ることの楽しさを実感してもらいたいと考えています。

☆ゼミ生の主な卒論のタイトル:

  • ファミリー向けマンションにおけるコミュニティ形成―須磨パークヒルズとザ・ミリカシティ―
  • 家族介護者のパーソナル・ネットワーク―社会における介護者の居場所―
  • 「母性」は女性を狂わせる!?―『八日目の蝉』『告白』にみる現代日本の母親像―
  • グローバル化に対抗するローカルの戦略―「ひらかたパーク」を事例に―
  • 伝統工芸に携わる人々―東山区上梅屋町に住む職人のライフヒストリーを事例に―
  • 無縁社会におけるシェアハウス―親密性と自己愛の関係―