亘明志 (わたり あけし)

☆主な担当科目:社会学アプローチ、社会学概論、文化社会学

☆専門領域:社会学(文化、社会意識、映像社会学、コミュニケーションとメディア、差別問題、戦争と記憶の社会学)

☆研究紹介:

(1)「近代化」とメディア社会に関する研究。視覚空間の変容と近代化の関連を考察・検証すること。カメラ・オブスキュラをモデルとする遠近法的な均 質空間から19世紀前半の主観的視覚への転換が近代の変容を特徴づけたとする見解は映像メディアの歴史の重要性を改めて再認識させるものです。こうした方向を踏まえて、日本においてこの視覚の変容(さらに身体感覚の変容)と近代化がどのように関わっているのか、また一般に 情報社会化と国民国家の成立はどのような関係にあるのか、を研究しています。

(2)文化社会学的観点、もしくはカルチュラル・スタディーズのアプローチを採り入れた現代社会分析。現代社会を大衆社会、管理社会、知識社会、あるいは消費社会等の観点からとらえる現代社会論はすでに展開されていますが、メディア状況の大きな変容を踏まえて、広い意味での「文化」の問題を採り入れた現代社会の分析が求められています。そこで、電子メディア、とりわけインターネットやケータイの急速な普及に伴うメディア状況の変容を実証的に研究しつつ、それを踏まえて、現代社会のトータルな把握を可能にするような文化社会学を構築することを目指しています。

(3)ポストコロニアル状況と文化社会学に関する研究。従来の文化社会学は先進社会をモデルにした、均質な社会を前提にした議論が多かったように思います。しかし、グローバル化やポストコロニアル状況といった背景を考慮しなければ、社会をリアルに把握することはできません。今後は歴史社会学的方法を取り入れて、戦時下およびポストコロニアル状況下で、メディアや文化はどのように人々の意識のあり方に関与してきたのか、といった問題を具体的に研究する予定です。

☆専門ゼミ:

専門ゼミ(演習Ⅲ~演習Ⅵ)は、4年間の学生生活の学びを、卒業論文という作品に結晶化させることを目標とします。

3回生の演習Ⅲでは、文化社会学の基本的な文献をリサーチし、発表します。演習Ⅳでは、各自の関心に沿って、特定の文化領域について、文献、インターネットで調べ、可能ならばフィールドワークを行い、研究テーマを絞っていきます。

4回生の演習Ⅴでは、卒論の書き方を学ぶとともに、夏休み前までに最終的に自分の研究テーマを決定し、研究計画書を書き上げます。後期の演習Ⅵでは、発表や討論をしながら、自分なりに納得できる卒論を完成させます。

ゼミ生の主な卒論のタイトル:

  • 在日コリアンのアイデンティティ形成若者世代を中心に
  • 日本における高度人材の受け入れの現状と課題:中国人留学生の就労を中心に
  • 国境を越える子どもたち帰国子女の事例から
  • プロ野球と女性ファンカープ女子はなぜ生まれたか
  • 現代日本のLGBTをめぐる現状と課題:同性愛者の日常生活や老後を中心に
  • 現代社会における食事と家族形態
  • なぜ宝塚歌劇は100年続いたのか
  • 百貨店業界衰退の背景には何があるか百貨店の始まりから今日まで