森久聡 (もりひさ さとし)

☆主な担当科目:都市政策論,市民活動論,環境社会学,まちづくり研究(大学院)

☆専門領域:都市社会学,地域社会学,環境社会学,社会調査法(質的調査)

☆研究紹介:

広島県福山市の南端に位置する「鞆の浦」という港町のフィールドワークを続けてきました。鞆の浦には,近世に建造された港湾遺産と歴史的な町並み景観が数多く残っているのですが,現在,港を埋め立てて道路を架橋する公共事業の是非をめぐって,住民の間で意見対立が続いています。ある住民はなぜ道路が必要だと考えるのか。また別のある住民はなぜ港湾遺産と町並み景観を残したいと思うのか。これらの問いを通じて,戦後日本の都市開発政策の問題点や瀬戸内海の地域社会の日本的特質について研究しています。

また近年では「炭鉱」の研究にも取り組んでいます。戦後最大の炭鉱事故である,1963年の三池炭じん爆発CO中毒事故を再検証し,事故や災害が少なかった釧路・太平洋炭鉱との比較をしようとしています。対照的な2つの炭鉱を保安システムや安全技術を運用する人間の資質や組織の在り方を考察することで,現代社会の大きな課題の一つである保安と防災について考察したいと思っています。そして甚大な災害の経験をどのように後世に伝えていくのか,負の記憶の保存と継承,そして地域再生のまちづくりの課題を研究しています。

社会で生きていくなかで困難や問題に直面した時,人々はそれらを解決し,より豊かな生き方を実現するために,時に協力したり,時に反発し合いながら様々な取り組みや創意工夫の実践をして,乗り越えようとしています。こうした懸命に生きる努力と実践の記述を通じて,それらが持つ社会的な意義を明らかにすることが社会学の課題の一つだと考えて研究を続けています。

☆専門ゼミ:

専門ゼミの副題は「都市政策とまちづくり・地域再生,公害・環境問題の社会学的フィールドワーク」です。ゼミ生は各自の研究テーマを設定してゼミ修了論文・卒業論文の執筆を目指します。

この演習は「山登り」に似ています。自分で挑戦する山(研究テーマ)を選び,ルートや天候を調べて,山の特徴に合わせた訓練を重ねていきます(文献講読)。そうやって準備をしたうえで,自分の力で山頂を目指します(現地調査の実施とゼミ論文の執筆)。山頂に向かう途中,順調に進むこともあれば,険しい斜面や悪天候で苦しむこともあります。けれど同じ目標を持った仲間とお互いにアドバイスをしながら,たくさんの挑戦と苦労,成功と失敗を積み重ねた先に見える山頂の景色は,きっと忘れられない経験となるでしょう。この専門ゼミでは,今の自分にとって少し重い課題に挑戦することで,自己ベストの更新を目指します。

調査中の森久先生(もちろん左)

この専門ゼミで学ぶ社会学とは私たちの日常世界を考えるための「道具」であり,大学で社会学を学ぶということは,「知識」を得ることではなく,「考える道具」を使って新しい知識を生み出す方法を身に付けることであると思います。安易に「~すべき」と軽々しく論じて分かったような気になるのではなく,大学での学びを通じて,じっくりと丁寧に「なぜ,~なのか」を考えるチカラを身に付けて欲しいと思います。

☆ゼミ生の主な卒論のタイトル:

  • 世界遺産における保存と観光のジレンマ——熊野古道「紀伊山地の霊場と参詣道」を事例に
  • 〝借金360億円〟からの地域再生——北海道夕張市における財政破綻から再建への道程
  • 都市部でつながる電力の「地産地消」の可能性——太陽光発電に取り組む京都市と宝塚市の市民団体を例に
  • きまっし金沢——「グローカルシティ」を目指す金沢のまちづくり
  • Jリーグクラブが変える地域社会と公共施設
  • 祭りの伝統と革新——ギャルみこしの役割と天神祭との関係性