大人の「学び直し」 :​現代社会を学び、未来を考える大学院にようこそ!​

70代からの挑戦:飛山善子さん​

片道2時間20分かけて京女の大学院へ通学しはじめて早7ヶ月目に入ります。大学院は個人授業のため、毎授業ごとにしっかり事前勉強をしてレジュメを用意しなければなりません。​

高齢者の私にとりまして下準備にかなりの時間を費やしていますが、不思議なことにこの時間がとても充実していて「識る」発見ばかりなのです。​

「学ぶ」ことの深さに驚きと感動の生活を重ねております。3年間で卒業予定ですが一つ一つクリアしていく楽しさを実感している毎日です。​

「どうして片道2時間20分かけて京女の大学院なの?」とよく聞かれます。​

私の返答はいつも同じです。​

「大学院は先生方との出会いなの。私はその先生方に出会ったのよ!! 先生から、今まで当たり前と思いこんでいた常識が実はそうでもない…と知るおもしろさを楽しみながら学んでいるの」と伝えています。
そして、私は大ファンであるNHKの番組「チコちゃんに叱られる」に正解できるような思考力を身につけたいと思っています。​​

2018.9.20
      飛山善子​

大学院・森久ゼミの風景​
同じく70代の小野田和子さんと​


​指導教授から一言​

「学問は最大の娯楽ですよ。」​

私が大学院で師事した先生は柔和な笑みを浮かべながらこのようにおっしゃりました。そしてゼミでは,誰よりも楽しそうに院生の発表に耳を傾け,情熱的にご自分の研究について語る姿を今でも良く覚えています。​

現在,私の大学院ゼミには修士課程の院生と研修生の計2人の社会人院生が研究に励んでいます。2人とも口では「大変!大変!ああ,どうしよう!」と言いながらも実に楽しそうに課題に取り組んでいます。生き生きと学ぶ2人の様子から,社会人が大学院で学ぶことには2つの喜びがあるように思います。​

ひとつは,今まで生きてきた世界では得られなかった知識を得る喜びです。新しく何かを知ることは,新鮮な驚きをもたらし好奇心を刺激します。現代社会研究科には様々な専門分野の先生がいます。そうした先生との出会いが新しい知識をもたらしてくれるはずです。​

もうひとつは,これまで社会で経験してきたことに意義を見いだす喜びです。仕事や子育て,ボランティアや社会活動の経験を学問的な視点から振り返ることで,その経験にどのような意義があったのか再発見することができます。これは社会人学生ならではの喜びで,社会経験に乏しい若者では得がたいものだと思います。​

ところが社会人になって,「学生時代にもっとあんな勉強をしておけばよかった」「今だったら,もっと興味を持って勉強できるのに」「学生時代の勉強が一番楽しかった」と話す人は少なくありません。しかし大学(大学院)は若者だけのものではありません。何かを学びたいと願うすべての人にいつまでも開かれています。社会人院生の2人は,ほんの少しの勇気を持って大学の門をくぐったことで,このような喜びに触れることができたのだと思います。​

生き生きと学ぶ2人の姿を見ていて,「学問は最大の娯楽ですよ」という言葉をふと思い出しました。​

森久聡(現代社会学部准教授)