公開講座「情報セキュリティ業界で活躍する女性を育てること」を実施しました

こんにちは,宮下です.

11月3日(金),大学祭の最中に現代社会学部公開講座「情報セキュリティ業界で活躍する女性を育てること」を開催しました.これは人手不足と言われているIT業界の中でも特に重要な情報セキュリティ業界においてもっと女性に活躍してもらいたいと思い,その問題意識を共有する講師による講演会としました.

宮下の講演
宮下の講演

まず1人目(前座としてw)本学から私が話しました.話題提供に加えて本学部の(とりわけ情報システム専攻の)カリキュラムを紹介して,情報セキュリティ業界で活躍する女性を育て続けていることを話しました.

猪俣先生の講演
猪俣先生の講演

次に東京電機大学教授の猪俣先生より,「グローバルに活躍できるセキュリティ人材とは〜5つのタネ〜」と題して,世界で活躍するセキュリティ人材を育てることについてお話をいただきました.猪俣先生は生駒にある奈良先端科学技術大学院大学の客員教授でもあり,日本の情報セキュリティ業界を取りまとめているJPCERT/CCの理事でもあります.さらに,本学部の情報クラスター科目である「情報セキュリティ」を非常勤講師として担当していただいています(なんと贅沢なw).

松崎先生の講演
松崎先生の講演

3人目は長崎県立大学教授の松崎先生にご登壇いただきました.長崎県立大学には昨年4月に日本初の情報セキュリティ専門学科が設置され,松崎先生はそこの設立メンバーとして教壇に立たれています.松崎先生には情報セキュリティ学科のカリキュラムや施設をご紹介いただきながら,情報セキュリティ業界の幅広さや多様さについて,そこで活躍するための基礎となる暗号技術やITについてお話しいただきました.

東さんの講演
東さんの講演

そして最後はトレンドマイクロ株式会社の東さんに,実際にセキュリティ業界で活躍している女性としてご講演いただきました.東さんは奈良先端科学技術大学院大学に猪俣先生が所属されていた頃の卒業生であり,「情報セキュリティ業界で活躍する女性」の実例です.東さんには「セキュリティの楽しみ方」というタイトルで,大学生〜大学院生のときの経験から社会人になって2社目という現在のご所属に至るまでご自身がどんな風に「楽しんで」きたかということを,本当に楽しそうに語っていただきました.

当日ご参加いただいた皆さんには楽しんでいただけたでしょうか.何か1つでも,これからの暮らしに役に立てば幸いです.末筆ながら,講師の方々をはじめ公開講座開催までご協力いただいたすべての方に感謝します.

9/26の朝日新聞で丸野ゼミの小学生プログラミング教室の取り組みが紹介されました!

2017年9月26日 朝日新聞大阪本社版朝刊の記事特集「まなビバ!」にて、京都女子大学の小学生プログラミング教室に関する取り組みが紹介されました。

小学生にプログラミングを教えるコーチとして参加した学生たちは人に教えることの難しさを感じたようですが、小学生からは「説明がわかりやすくて簡単にできた。もっと難しいものを作ってみたい」と好評でした。

情報系ゼミでは学生自身がプログラミングを学ぶだけなく、プログラミングを教える活動もしています。小学生向け、高校生向け(RubyGirls)、一般向け(Rails Gilrs)の教室を行っています。

小学生向けプログラミング教室開催

 

公開講座「恋愛と結婚からみる日本文化と現代社会:人口減少社会にいかに向きあうか」報告

5月21日,現代社会学部3専攻開設記念公開講座『恋愛と結婚からみる日本文化と現代社会――人口減少社会にいかに向きあうか』が100人近い方に参加していただき開催されました。

第一講演では,「ブラジルの草食系男子」というタイトルで,井上章一先生(国際日本文化研究センター教授)による講演を伺いました。井上先生がブラジル滞在した期間にご自身で見聞きしたブラジルの恋愛事情だけではなく,フランスの話など国際的な恋愛事情を踏まえることで,裏返しに日本文化における現代事情が浮かび上がってきました。

かつての日本では結婚することを前提にした社会制度が多く,また会社や地域社会で色々な人が結婚相手を探してくれるため,恋愛ベタでも結婚できたという持論を展開されました。そして現代日本の若者は「草食化」したのではなく,もともと草食系だったのではないかという見解を話されました。

第二講演では,本学客員教授の橘木俊詔先生より「肉食女子・草食男子の意味」というタイトルで講演いただきました。政府機関やシンクタンク,マスコミが実施した統計的な情報をもとに,草食男子と呼ばれる人々がどのような存在として社会は見なしているのかということをお話し下さいました。

そして一口に草食男子といっても,出世や地位の獲得,高収入を懸命に目指すのではない生き方・仕事の仕方を選択する男子という意味での草食男子と女性との恋愛関係の構築や結婚願望が弱いタイプの草食男子の2つが混在しているということを明らかにされました。

 

第三講演では,本学社会学部教授の西尾久美子より「伝統文化の担い手「舞妓さん」の当世事情」について講演していただきました。芸舞妓さんという特殊な職業に就く女性がどのように恋愛や結婚を経た人生を送るのか,芸舞妓や宝塚歌劇団を事例に女性のキャリア形成と人材育成について経営学的な研究を続けてこられた西尾先生ならではの視点と丹念なフィールドワークに基づいた貴重な資料をもとに論じていただきました。

いずれの話もとても興味深く聞かせていただきましたが,とくに印象に残ったのは,いずれの講演も共通して,私たちは個人個人独立して生きているのではなく,社会的なサポートに支えられて生きている存在であるということでした。
第一講演の井上先生のお話では,恋愛や結婚の世話をすることが社会的なサポートとしてみなされていた時代から,それが「余計なおせっかい」であるとか,プライバシーへの介入であるとか,ときにセクハラにみなされてしまう時代に変化してきたことを読み解くことができるような気がしました。
第二講演の橘木先生の話からは,こうして草食男子が社会的な関心を呼ぶこと自体が,恋愛と結婚が社会的な関心を呼ぶもの,つまり「個人の事柄」では済まされない話題であることを示していたように思います。
第三講演の西尾先生のお話には,舞妓さんのお座敷デビューまでの稽古・作法の躾,デビュー当日,その後のさらなる稽古など色々な形で多くの人が舞妓さんをサポートすることが地域経済の仕組みとして確立されている様子が理解できました。

今後,ますます少子高齢化は進み,恋愛と結婚はさらに重要な社会的な課題になることでしょう。そうした将来を見据え,現代社会学部ならでは視点から,現代の恋愛・結婚事情についてマジメに柔らかく考えることができたのではないでしょうか。最後に,この公開講座で講演を引き受けていただいた3人の先生をはじめ,公開講座に参加して熱心に話を聞いて下さった皆様に感謝申し上げます。

(コーディネーター・森久聡)

5/21 (日) 京都女子大学現代社会学部公開講座「恋愛と結婚からみる日本文化と現代社会:人口減少社会にいかに向きあうか」

公開講座の告知です。

今年度より現代社会学部には、現代社会専攻・国際社会専攻・情報システム専攻の3つの専攻が開設されました。この3つの専攻の開設を記念して、公開講座『恋愛と結婚からみる日本文化と現代社会――人口減少社会にいかに向きあうか』というイベントを開催いたします。現代社会学部ならでは視点から、現代の恋愛・結婚事情についてマジメに柔らかく考えていくイベントです。興味のある方は是非ご参加下さい。

【趣旨】

最近「恋活・婚活」や「草食系男子」といった言葉を良く見聞きすると思います。また、恋人がいない若者の割合が過去最大の割合に達しているという調査結果が発表され、大きな話題になりました。これらの言葉の流行や調査結果のニュースは、人口減少社会を迎えた現代社会の将来に対する危機感を表しているといえるでしょう。そこで、このシンポジウム形式の公開講座では、現代社会学部ならでは視点から、現代の恋愛・結婚事情について考えていきたいと思います。

【日時】
日時:2017年5月21日(日)13:00~16:30
場所:京都女子大学 B517教室
参加費:無料・事前申込不要

【登壇者】
井上章一(国際日本文化研究センター教授) 「ブラジルの草食系男子」
橘木俊詔(本学現代社会学部客員教授)「肉食女子・草食男子の意味」
西尾久美子(本学現代社会学部教授)「伝統文化の担い手「舞妓さん」の当世事情」

コーディネーター:森久聡(本学現代社会学部准教授)

公開講座「今さら聞けない情報セキュリティ」開催しました

以前このブログで予告した通り,7月23日(土)午後に現代社会学部公開講座「今さら聞けない情報セキュリティ」を開催しました.

公開講座チラシ
公開講座チラシ

当日は暑い中,たくさんの方にご参加いただきました.ありがとうございました.

まず最初に私(宮下)が公開講座全体の構成や講師のご紹介で講座を始めました.また,本題は「やっぱり役立つITの基礎知識」として,IT(情報技術)の基礎となるコンピュータの構造(ハードウエア,ソフトウェア),2進数,16進数,文字コードなどについて話しました.高校で「情報」が必修化された世代ならいざ知らず,それより上の方々にとってはこのあたりの基本的な事柄をまとめて聴く機会は少ないのではないかと思い,大部分の方には「釈迦に説法」かとドキドキしながらも丁寧な解説を心がけました.

猪俣先生の講演
猪俣先生の講演

次に東京電機大学の猪俣先生に「私の情報を守るセキュリティ技術 〜仕組みを理解し自分で守るためのスキル〜」という題でご講演いただきました.ちょうどリリースされたばかりのポケモンGoを絡めてプライバシーの問題を語ったり,迷惑メールの実例を元にフィッシングサイトの見分け方を伝授してくださったり,身近な話題で参加者を釘付けにしつつ,そこかしこにネタを仕込むのは猪俣先生ならではです.

大鐘さんのご講演
大鐘さんのご講演

3番目には(株)NSDのITスペシャリスト,大鐘さんにご登壇願い「なるほど!そういうことか!身近にあるセキュリティ対策の理由」と題してお話をいただきました.オンラインバンキングによる不正送金の問題,SNSなどのパスワード管理や多要素認証のこと,子供とスマートフォンのつき合い方などを理解するためのポイントはどこか,具体例がたくさん挙げられることで身近な問題として考えることができました.大鐘さんからはITエンジニアの視点に加えて,小学生の子供を持つお母さんの視点からのお話もたくさん伺えました.

吉岡さんのご講演
吉岡さんのご講演

最後は京都府警の吉岡さんに公開講座をキリッと〆ていただきました.サイバー犯罪の現状と対策について,国内や京都府の統計を使いながら,また具体的な事例もご紹介いただきながら,これまた身近な話題として話してくださいました.実は私の進行が拙く,常に5分遅れのプログラム進行だったところを,終了時刻を予定通りに戻してくださったのは吉岡さんの講演テクニックによるものです.

講演中に客席の後ろの方からこっそり参加者数を数えたところ,150人を超えたあたりで数え間違えたかと思ってしまいました.しかし,最後に数え直したら実に170人近い方のご参加をいただいていることがわかりました.定員300人弱の教室を会場にしておいてよかったとホッとしました.

各講演の間の休憩やすべての講演が終了した後も参加者からの質問が相次ぎ,今回の話題に対する参加者の皆さんの関心の高さが伺えました.今後も皆さんに楽しみながら勉強していただけるようなタイムリーな話題を考え,公開講座を開催したいと思いますので,どうかよろしくお願いいたします.最後になりましたが,ご講演いただいた先生方,参加していただいた皆さま,ありがとうございました.

公開講座「今さら聞けない情報セキュリティ」開催します

現代社会学部の夏の公開講座として今年は「今さら聞けない情報セキュリティ」を開催します.

  • 日時:平成28年7月23日(土)13時〜17時
  • 場所:京都女子大学 C校舎5階 C501教室

公開講座「今さら聞けない情報セキュリティ」プログラム

時間演題講師
13:00きっと役立つITの基礎知識宮下 健輔 (本学 現代社会学部 教授)
14:00私の情報を守るセキュリティ技術 〜仕組みを理解し自分で守るためのスキル〜猪俣 敦夫 (東京電機大学 未来科学部 教授)
15:00なるほど!そういうことか!身近にあるセキュリティ対策の理由大鐘 博子 ((株)NSD 産業事業本部 ITスペシャリスト)
16:00サイバー犯罪の現状と対策吉岡 竜之介 (京都府警察本部 生活安全部 サイバー犯罪対策課 ネットセキュリティ・サポートセンター 警部補)
公開講座チラシ
公開講座チラシ

昨今その重要性が叫ばれている「情報セキュリティ」を理解するにはIT(情報技術)の知識が不可欠です.それも,高校の教科「情報」や大学初年時の情報リテラシに関する科目等で扱う内容より一歩だけ先に進んだものが身に付いていると,情報セキュリティの仕組みがよりよく理解できます.ただ,一般の方にとってはこのような内容はなかなか聞く機会がもてないものかもしれません.

そこで今回の公開講座では,情報セキュリティの第一線で活躍されている方々を講師に迎え,活動の一端をご紹介いただきながらその基本となるITの知識・スキルについてわかりやすく説明していただきます(宮下は前座をつとめます!).また,被害者はもちろん,加害者にもならないよう,サイバー犯罪の現状を知り対策を考えたいと思います.

ふだんパソコンやスマートフォンでネットを楽しんでいる方々すべてにお聞きいただきたい内容です.ぜひご参加ください.申込不要・入場無料ですので,会場に直接お越しいただければ結構です.

現代社会学科公開講座「国際協力と私―支援する女性と支援される女性―」の報告

2015年6月6日(土)に開催された公開講座「国際協力と私」について報告します。前日にルワンダから帰国し会場に駆けつけて下さった梶田さん、20年以上ケニアのガリッサでNGO活動を続けてこられた土方さんに、国際協力の現場を女性の視点から語って頂きました。

「女性の視点からみた国際協力」: 現代社会学部教授・戸田真紀子

「東アフリカの国々でのそれぞれのルール」: 青年海外協力隊元隊員、キガリ図書館ボランティア職員・梶田三佐江

「あなたの善意は届いていますか?」: ケニア政府公認NGO ミコノ・インターナショナル副所長・土方栄子

 

戸田は、日本がなぜ国際協力をしなければならないのか、国際協力のアプローチにジェンダーの視点をなぜ入れなければならないのかを説明し、近代化論からWIDアプローチ、GADアプローチへの変遷や、途上国の女性の置かれている状況などを話しました。

梶田さんからは、まず、東アフリカ共同体を構成するケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジについて、それぞれの国の経済状況や人びとの暮らしについてのデータが示されました。次に、所得が増加すると娘を学校に行かせる余裕が生まれ、女子教育の増加は生活の質と女性の地位を向上させ、それによって女性の社会参加が進み、女性の活躍は経済を更に成長させ、より所得が増加するという「経済成長とジェンダー」のサイクルについての説明がありました。そして、ルワンダにおける女性の環境改善への取り組みが紹介され、まとめとして、それぞれの国に沿った支援の必要性を次のように訴えられました。

  • 支援は一方的なものではなく、相手のニーズを取り入れたものでなければならないが、その主導は現地の人が行うのが良い。
  • 新しい取り組みに積極的な国民性とそうでない国民性がある。支援はそれを考慮した上で取り組まなければならない。
  • 現状の課題のみに囚われるのではなく、今日までの取り組みを評価し、効果的であった手法を更に広げることが大切である。
  • 長期的視点で取り組む必要がある。

最後に、土方さんから、ケニアの北東部に住むソマリ人の状況、学校建設・医療巡回・奨学金・井戸掘り・太陽光発電・植林・自動車整備士養成・ミシン教室といったミコノ・インターナショナルの活動内容、募金をした先進国の人びとの期待を裏切り無駄になってしまった援助事例についての話がありました。1986年に土方さんたちが初めてケニアの北東部の中心都市であるガリッサで校舎建設を行った際、現地の人たちと一緒になって工事をしている土方さんたちに対して、地元の学校の先生が次のようにおっしゃったそうです。「今まで多くの外国人がこの国へ来て、いろいろな援助活動をしてくれたが、ケニア人と一緒に汗を流したのはあなた方が初めてだ。私は大変感動している。」アフリカの人を助けようとボランティアを行った人は、逆にアフリカから大きな感動や喜びをもらって日本に帰ってきます。一方的に助けるのではなく、自分たちも助けてもらう活動。これが私たちの活動の原点だと土方さんは話されました。

 

  休憩時間にたくさんの質問用紙が集まりました。時間の関係で質疑応答に多くの時間が割けなかったことが残念でしたが、国際協力の現場で活躍されている日本人女性の話を聞くことは、学生の皆さんにも刺激になったことと信じています。たくさん本を読んで、自分を磨いていって下さい。

 

<当日の講師写真>

 

沢山のご来場に感謝申し上げます2 

↓日本のODAの成果を話す梶田さん

 

d↓ミコノ・インターナショナルの活動を説明する土方さん名称未設定

(文責 : 戸田真紀子)