環境政策(諏訪)ゼミ 東海国立大学機構と学生対談開催

夏休みに入った2023年8月9日に、東海国立大学機構に属する名古屋大学・岐阜大学の環境報告書編集チーム学生メンバーと、京都女子大学現代社会学部諏訪ゼミの学生による学生対談を行いました。

東海国立大学機構とは、2020年に岐阜大学と名古屋大学の二つの大学が法人統合し、設立された国立大学法人です。東海国立大学機構は、2021年から「環境報告書」を作成しており、今年度の環境報告書の学生企画として、京都女子大学諏訪ゼミの学生との「学生対談」が実施されることになりました。諏訪ゼミでは、大学の使用電力を再生可能エネルギーに切り替えるための検討を行っています。また、昨年11月には、若者向けの再エネイベント「Creating the Change~若者からつくる持続可能な地域・社会~ 大学にいるときできること・大学出たあとできること」(諏訪 – 京都女子大学現代社会学部blog (kyoto-wu.ac.jp))を開催しました。今回の学生対談は、昨年のイベントを通して、私たちの取り組みに関心を持っていただいたことをきっかけに実現しました。

当日は、東海国立大学機構から教職員と学生合わせて11名(ほかオンラインで学生3名)が参加し、本学からは、教職員2名と諏訪ゼミの4回生8名、3回生1名の計11名が参加し、E104を会場に学生対談が始まりました。

まず、自己紹介をした後、東海国立大学機構より、環境報告書や各環境サークルの活動報告がありました。「環境活動を通して、自分の大学のことでも知らないことを知ることができた。始めるのに遅いことはない」という言葉が印象的でした。次に、諏訪ゼミから「大学再エネ化プロジェクト」について活動報告を行ない、私たちの活動や想いを共有しました。その後、各活動報告を踏まえてディスカッションを行い、質問や意見交換、活動を始めたきっかけなどを共有しました。対談後には、プリンセスラインバスの充電施設の見学を行いました。

普段関わることのない他大学の学生との交流は、私たち学生にとって刺激的で、一歩踏み出すことの魅力を再確認する上で大変有意義でした。暑い中、遠方から来校していただいた東海国立大学機構の皆様、ありがとうございました。

(文責:尾上幸)

江ゼミ3年生の皆さんが「経営学合同ゼミ合宿」で受賞しました!

2023年9月7日に、第32回経営学合同ゼミナール研究発表会が、和歌山県白浜町エクシブ白浜にて、3年ぶりに実施されました。今回の開催場所である白浜町は、田辺3偉人と称される南方熊楠、植芝盛平、武蔵坊弁慶に縁がある田辺市に隣接しています。学生のみなさんに現地の歴史や文化を知ってもらうために、発表大会の後には、南方熊楠記念館の学芸員の三村 宜敬(みむら・のぶたか)先生に「南方熊楠と紀伊半島の森」について講演して頂き、和歌山県の観光物産・ご当地グルメについても紹介して頂きました。

今年の合同ゼミには、関西大学、甲南大学、中央大学、法政大学、成城大学、麗澤大学、京都女子大学の7大学から合計100人以上が参加し、テーマは「これからの時代に求められる〇〇組織」でした。また、合同ゼミの進行は各発表15分、質疑応答5分で構成され、各発表に対して、各先生からの講評と学生による質疑・評価がなされました。そして、ゲストとして経営学合同ゼミの創始者、日置弘一郎先生(京都大学名誉教授)も参加されました。

江ゼミ3年生のみなさんは、『これから求められるイノベーティブな組織』をテーマに、化粧品会社の新製品開発について発表しました。堂々と発表をし、発表後の質問にもしっかりと答えていました。学生全員による投票の結果、江ゼミのみなさんは入賞することができました。

ゼミのみなさんが本格的に資料作成段階に入ったのは8月からであったため、夏休み中にメンバー間でスケジュールを調整し、何度もzoom会議を行うなど、準備は容易ではありませんでした。しかし、ゼミ生全員が一丸となり、無事プレゼンテーションを終えて入賞することができました。今回の貴重な経験をこれからの卒業研究や就活に活かせると思われます。

みなさん、本当におめでとうございます!

2023年9月22日 江向華

京都女子大学オープンキャンパス

8月5日、6日、19日、20日でオープンキャンパスが開催されました。

現代社会学部の学生も参加し、懇談コーナーでは教員と共に受験生の皆さんの相談を受けました。

オープンキャンパススタッフは毎年4~5月頃に募集されます。就任するためにはエントリーシートや面接を乗り越える必要があり、毎年多くの学生が応募しています。

現代社会学部の学生は現在、1~4回生合わせて30名ほど在籍しています。

次回のオープンキャンパスは9月17日です。ぜひ、現代社会学部の学生に会いにいらしてください。皆さんの来場を心よりお待ちしております。

江口ゼミ 永野実季

森久先生にインタビュー

京都女子大学現代社会学部の森久先生にインタビューをしてきました。

Q:簡単に自己紹介をお願いいたします。

A:森久聡(もりひささとし)です。授業で担当科目している科目は主に「都市政策論」「市民活動論」「環境社会学」です。研究の専門分野は「都市社会学」や「環境社会学」で、主に研究しているのは、広島県の福山市にある鞆の浦(とものうら)という地区で起きていた歴史的景観保存と地域活性化の問題です。鞆の浦には、港湾遺産と歴史的景観が多く残っているのですが、港を埋め立てて道路を建設する公共事業を巡って対立が起こっていました。この問題を中心に実際にフィールドワークという現地に行って取材を行うという形で研究をしています。

Q:専門分野を研究するに至った経緯を教えてください。

幼少期からお年寄りに昔の生活の話を聞くことが好きで、好奇心が強く本を読んだり調べたりすることが好きな子供でした。大学3年生の時に、北海道の小樽市でフィールドワークを体験する授業を履修して本を読む以外にも研究する方法があるのだと知り、フィールドワークに興味を持ち始めました。そして、まちづくりをテーマにフィールドワークをしたいと思い大学院に進学したところ学問的な研究することの魅力や楽しさにはまってしまいました。その後も大学院を経て非常勤講師をしながら研究を続けていき,縁あって京都女子大の教員になりました。

Q:先生の今後の目標があれば教えてください。

A:鞆の浦のフィールドワークを続けることはもちろんですが,他にもやりたいことはいくつかあります。例えば、長野県軽井沢町です。軽井沢、元々は中山道の小さな宿場町だったのですが、明治時代に外国の宣教師があの土地を気に入って別荘を作ったのがきっかけで別荘地になりました。現在では全国的なブランド力を持つ観光地になっています。軽井沢を通じて観光とまちづくりのバランスについて研究をしたいです。

また、その軽井沢の近くに安中榛名(あんなかはるな)という地域があります。この地域は1930年代末から工場の排煙などによって農作物が枯れてしまうという公害事件が起きました。公害訴訟を経て、その後どのように地域が再生したのかというテーマでの研究もしたいです。

そして、本を作りたいとも思っています。最近さまざまな形で文化遺産を巡る様々な社会の関心が高まっています。とくに文化遺産を保護して観光資源に利用していこうという動きが活発です。けれど,その過程をよく注意する必要がみると,当事者の方々が文化遺産に対して色々な思いを抱えていたり悩んでいたりしています。例えば,三池炭鉱の世界遺産化や東日本大震災の震災遺構などが典型的です。意外と一筋縄ではいかない文化遺産の保存の問題について、近いテーマを研究している人たちとともに本を書きたいと考えています。

Q:大学生のうちにしておいたほうがいいことはありますか?

A:キャンパスでの講義やゼミも大切ですが,キャンパス以外にも学びの場はあります。ボランティアやイベントのスタッフなどいろいろな世代の人と活動する経験が良いと思います。

私のゼミでは、希望者の学生と一緒に北海道の小樽市での観光イベントに参加して、ボランティアスタッフとして地元のスタッフと一緒に活動しています。2年連続で参加を希望する学生もいて、色々な世代の方と交流するということは学生にとって良い経験になっているようです。将来,そうした経験を自分の住む町のまちづくりに活かしてもらえたら嬉しいです。

Q:最後に学生へのメッセージをお願いします。

A:京都女子大学の学生は賢さをサボることに使わないのが良いところだと思っています。そうやって誠実に課題や授業に取り組むことができるので,わずか半年間の授業でも学生のコメントの質が上がっていることを実感します。

学生のみなさんからすれば,授業や課題に取り組んできたけれど,本当に成長できているのか自分自身は実感がないので疑問に思うこともあると思います。けれど,私たち教員はみなさんが入学してから卒業するまでのあいだに大きく成長していることを実感しています。きちんと課題や授業に取り組んでいれば力は伸びるので安心して学び続けてほしいです。

森久先生ありがとうございました。

取材日:6月26日
インタビュアー:現代社会学部学生支援団体C.S.LINK 石垣桃子

「ソーシャルリサーチI」の受講生で海と空クリニック京都駅前を訪問しました

嘉本伊都子

7月20日、社会調査の半構造化インタビューを実習する「ソーシャル・リサーチI」のコンパがありました。その前に、海と空クリニック 京都駅前を訪問しました。https://ninomiya-lc.jp/umisora

院長の池田裕美枝先生に、嘉本の社会学アプローチに緊急出演していただきました。

「自分の体のこと、自分のことは、自分で決める!」そのためには正しい情報の収集と、情報の見分け方の訓練が必要!という姿勢は、嘉本も池田先生も同じだからです。社会学が医学か、という違いだけ。

総合内科、産婦人科、公衆衛生学をイギリスでも勉強されたことから、日本の医療現場に Sexual Reproductive Health and Rights (SRHR) (=性と生殖に関する健康と権利)が必要だという思いが深まったそう。先進国には普通にあるものが日本にはないと気付きユースクリニックを七条烏丸北西角 赤茶色のビル5階にオープン、ソーシャルリサーチIのクラスの学生の一人は分娩台にも乗せてもらいました。

女子学生のためにもいろんな企画をするそうです。ちらしをS校舎一階のパンフレット等がおいてあるデスクに置いときましたので、興味のある学生さんは、自由にとって行ってください。また、お母さんの世代は更年期を迎えて、体調や心のバランスが難しいお年頃。お母さんのためにも1枚ちらしがありますので、差し上げてください。

「ソーシャルリサーチI」では、女性の就労と育児の変遷をインタビュー調査するクラスです。
後期の「ソーシャルリサーチII」は、女性の就労と育児の現状とインタビュー調査します。

育児休業は知っていても、どれくらいの期間取るの?いつ申請するの?つわりって妊娠してからどれぐらいでくるの?安定期っていつ?保活っていつから始めるの?など、知らないことばかりだと気づきます。そもそも、育児休業制度っていつからできたの?すぐ広まったの?など、様々な疑問を周辺リサーチします。周辺リサーチしてもわからない。だから、インタビュー調査する必要があるのです。

同様に、生理や妊娠のことなど、自分たち自身の身体にかかわる重要なことですけれど、「なんとなく知っているつもり」で、実際は何も知らないことがたくさんあります。知らないことは恥ずかしいことではありません。知ろうとしないことのほうが恥ずかしい。産婦人科は敷居が高いけど、困ったときは安心して話せる場があるユースクリニックができたことは嬉しいですね!生理周期や、今日の痛みは10段階で何点かなど、記録しておくと、よいそうです。

海と空クリニックではトラベルクリニックといって、留学や海外赴任、調査など、行先で必要なワクチンなどの相談に乗ってくれるそうです。

なお、馬町のほうにもようこレディスクリニックがあります。
https://yoko-ladies.jp/

かかりつけ医をはやめに作っておくと、いざというとき心強いです。

正木大貴先生にインタビュー

この度、C.S.LINKで正木大貴先生にインタビューしてきました。

Q. 簡単に自己紹介をお願いします。

正木大貴です。心理学の中でも臨床心理学を専門としています。臨床心理は、分かりやすく言うと、カウンセリングや病院の精神科などで心理療法を行うための心理学です。私は病院で臨床を行っていて、いわゆる心の病気・精神疾患を持っている人に対する心理療法がもともとの専門です。

心理学を研究するに至った経緯については,大学入学前後の頃のことです。最初から心理学を目指したわけではなく、2回生の頃に工学部から転部して教育学部の心理学専攻に移りました。なぜ移ったかというと、中学生の頃から映画や小説や漫画を見ることがきっかけで、人の心の機微や人間関係などに関心を持ち、何となく人の心について興味を持っていました。大学に入ってからは工学部の授業で上手く行かないことが続く中で、中学の頃を思い出して心理学を学びたいなと思い、転部し学び始めたわけです。

Q. いま映画や小説や漫画が好きとおっしゃっていましたが、京女生におすすめしたい作品などは何かありますか?

 私、結構サスペンスが好きなんですよ。なので、ちょっと古い映画ですけど『MEMENTO』という作品がおすすめです。これは記憶が10分くらいしか保てない主人公が殺された奥さんを殺した犯人をさがす物語で、記憶を失う系のはしりの作品です。物語の仕掛けとしては人の心をつかむでしょう?記憶が10分しか持たないから体中に刺青やメモを残して殺人が起きた日までどんどん記憶をさかのぼっていく、という。サスペンスと記憶の不思議さを知れる面白い作品かなと思います。

 あとアニメで『サマータイムレンダ』という作品もあります。これはタイムリープもので、これも主人公に好きな幼馴染がいて、その子を殺した犯人を突き止めようとするお話ですよ。おすすめはこんな感じですかね。

Q. 正木先生のゼミは人気で毎回定員を超えているイメージがありますが、授業を行う上で心掛けていることはありますか?

なるべくリアリティを持ってもらうようにしています。専門的な用語を多く用いて知識を蓄えてもらうよりも、日常生活の中に落とし込めるような知恵や理論を説明する際にも、友人関係や恋愛関係など具体的な例を出しています。学生が日常生活においてリアルに感じているであろうことについて話すことを心がけています。

Q. 今後の目標や夢を教えてください

これといった夢は正直ないですね…。でも決して目標や夢を持っている人を否定するわけでないし、茶化すつもりはありませんが、目標や夢がないと生きていけない、生きる価値がないと感じてしまうのは違うのではないかと思います。別に夢や目標がなくても生きていくことはできます。学生でも夢や目標がもてないという方は多いのではないかなと思います。

個人的なことで言うと定年までは働きたくないですね。健康なうちに引退したいです。死ぬまで生涯働くというのが良いという人もいるけれど、私はボロボロになるまで働きたくはないです。

Q. 最後に学生にコメントやアドバイスがあればお願いします。

皆さんの多くは卒業後仕事を持つことになるでしょう。仕事を持つと大変なこともありますが、心と身体をすり減らしてまで仕事をする必要はありません。「いつでも辞めてやるよ」という気持ちで、あまり一つの仕事にこだわり過ぎなくてもいいのではないかと思います。実際に卒業生でも、調子を崩してボロボロになってしまう人は少なくありません。それを見ていると、体を壊してまで無理しなくていいよと思います。「仕事は人生の暇つぶし」ですよ。それよりも自分の心と身体と命を大切にすることが何よりも大切なことです。

正木先生、ありがとうございました。

取材日:6月28日
現代社会学部学生支援団体C.S.LINK
インタビュアー:小央悠加 樋口瑛美

日高良祐先生にインタビュー

2023年度に京都女子大学現代社会学部に赴任された、日高良祐先生にインタビューしてきました。

Q:簡単に自己紹介をお願いします。

A:日高良祐(ひだかりょうすけ)です。現代社会学部では、メディア文化論を中心に教えています。メディア文化論とは、社会学の一領域で、人と人とのコミュニケーションを媒介するもの全般をメディアとして扱いながら文化を研究する分野です。コミュニケーションの媒介にも様々な形式がありますが、特に私は、音や音楽に関連するコミュニケーションの形式とそこでの技術、使い方を専門に研究しています。例えば、音楽を聞いたり作ったりするときに使う「データ」や「ファイル」が、どのように作られて、使われているのかなど。ゲームボーイを改造して音楽制作をする、「チップチューン」の論文なども書いています。大学の講義ではよく、ポピュラー音楽なんかも取り上げています。

Q:メディア文化論を研究するに至った経緯を教えてください。

A:きっかけは学生時代にやっていたバンド活動です。当時、インターネットが爆発的に普及して、音楽の違法ダウンロードが問題になっていたり、CDは売れなくなるというような議論がなされていたりした時代でした。一方で、自分たちで作った曲をインターネット上にアップロードして、人に聞いてもらうということもできるようになり始めた時代です。音源を作ったり、録音をしたり、ライブハウスで演奏したりする中で、メディアとバンド活動は密接に関わっていると感じました。こうして、音の扱い方や表現方法を、「メディア論」という形で研究するようになりました。

Q:日高先生が編者を務めた、『クリティカル・ワード:ポピュラー音楽〈聴く〉を広げる・更新する』はどんな本ですか?

A:「ポピュラー音楽研究」と呼ばれる分野に関わるキーワードを、それぞれの章でひとつずつ説明している、いわゆるキーワード集です。何人かの研究者の方に声をかけて、書いてもらったものを、私がまとめました。「テクノロジー」や「デジタル」などのメディアに関わるトピックも入れています。基礎編では、ジェンダーや階級、人種、植民地など、社会学や文化を学ぶ上で抑えるべきワードも取り上げています。ジェンダーについての話題は、京都女子大学が「女子大」である理由の本質に関わることでもあります。社会学や文化研究の概説本としても使えるので、ぜひ現代社会学部の学生にも読んでいただきたいです。

Q:最後に、学生に大学生活を送る上でのアドバイスをお願いします。

A:京都女子大学の学生は、私が思っていたよりも、よくしゃべるし、オープンな人が多い印象です。そこが強みであり、魅力です。だからこそ、自分が興味を持っていることの隣の領域にも足を踏み入れてみてください。違う軸から自分の興味のある領域を見ることで、新しい発見があるかもしれません。居酒屋に行くような感覚で、どんどん外に出歩いてみてください。私も、皆さんがその一歩を踏み出すきっかけとなるような講義を目指していきたいと思っています。

日高先生、ありがとうございました。

取材日:2023年5月24日

インタビュアー:現代社会学部学生団体C.S.LINK 柴田麻衣

江向華先生の自己紹介です

はじめまして。江向華(コウ コウカ)です。

私は中国の山東省青島市の出身です。山東省(省は日本の県に相当する)は人口が1憶人程度で、儒教の創始者の孔子や孟子、兵法の孫子、それに三国志で有名な諸葛亮(諸葛孔明)などの故郷であり、伝統や学問を重んじるところです。また、青島市は中国の沿岸部に位置する観光都市です。雰囲気は神戸市に似ています。中国の国立大学で日本語を勉強してから来日し、大学院時代は京都で過ごしました。日本には親戚も知り合いもいなかったため、独りぼっちでとても大変でしたが、京都の皆さんに親切に接して頂き、色々と助けて頂きました。そのため、私にとって京都は第二の故郷であり、京都で仕事したいという強い思いがあったため、広島と岡山の大学に勤めた後、京都に戻って本学に赴任しました。

私は小中高の週末はほぼ読書をして過していました。時間を忘れて本を読み、より大きな世界を知りたいと思うようになりました。また、日本語を学んだため、青島にある多くの日本企業に接する機会がありました。中国企業と日本企業の違いを感じて、なぜこんなにも違いがあるのかと疑問に思い、日本に留学して企業経営について勉強したいとも思いました。そのため、留学生として日本に来てからは、日中企業を比較しながら中国企業の成長戦略について研究していました。その集大成として書籍の出版ができました。

その後の研究を経て、企業は顧客に商品を買ってもらうために戦略を立てるのではなく、顧客のために企業は何ができるかについて考えることが重要だと思うようになりました。そのため、近年は主にマーケティングの視点から、企業は顧客と共に価値(商品を使用する段階における使用価値や経験価値)を創るために、どのようにして企業内外の資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を集め、顧客に提供しているのかについて研究しています。

研究調査は企業に対するインタビュー調査をメインとしています。名が知られている大企業だけではなく、顧客のために頑張っている中小企業も対象にしています。調査のために、日本国内外に出かけることが多く、現地社会や文化、歴史等に触れながらいろんな国の企業に対してインタビュー調査を行ってきました。今はロボットメーカーや、靴のメーカー、京都の和菓子メーカー、日本酒メーカーなどに興味があり、経営学の視点から研究してみたいと思っています。もし、企業経営に興味を持っていて交流したいと考えているならば、いつでも気軽に研究室にお越しください。

佐藤若菜先生の自己紹介

2022年度に赴任された佐藤若菜先生の自己紹介です。


はじめまして。佐藤若菜です。

私は宮城県で生まれ育ち、大学院時代の7年間を京都で過ごしました。大学院を卒業してからは、6年間新潟で働いていました。このほか学部時代の1年間を台湾で、大学院時代の2年間を中国貴州省で過ごした経験があります。小学校低学年の頃から祖母の影響により染色や機織りが大好きになりました。中学時代には中国語に関心を寄せていましたが、大学では全く関係のない海洋生物学を専攻していました。当時は、染織や中国語をどのように自分の将来に結びつけていいのかわからなかったのです。とはいえ、学部時代は渦鞭毛藻の美しさに魅了され、顕微鏡をのぞきながらスケッチすることにハマっていました。今でも、生物全般をリアルに素早くスケッチすることが得意です。

大学院からは文化人類学を専攻し、自分の元々の関心に立ち返って中国貴州省に暮らすミャオ族とその民族衣装について調査・研究を始めました。文化人類学は、長期間のフィールドワークを通して他者を理解する学問です。私も大学院時代の2年間を中国貴州省で過ごし、うち1年間はミャオ族が暮らす村に住み込んでフィールドワークを行いました。未知の世界に飛び込み、ゼロから人間関係をつくり、中国語とミャオ語で他者と意思疎通を図ることで得た知識や経験は、今でも私の研究だけでなく、物事を考える際の基盤となっています。現在、とても関心があるのが「手仕事」についてです。何でも機械で生産することができる時代において、手仕事の価値とは何かを考えています。もし何かアイディアをお持ちの方がいれば、ぜひ研究室へお越しください。

奥村美生さんが情報処理学会第85回全国大会 学生奨励賞を受賞

現代社会学科情報システム専攻4年生(丸野ゼミ)の奥村美生さんが2023年3月2日〜4日に開催された「情報処理学会 第85回全国大会~ダイバーシティと情報処理~」で学生奨励賞を受賞しました.学生奨励賞は,学生セッションで発表された論文の中から優秀な論文や発表に対して贈られるものです.

弱教師あり学習モデルに対する転移学習を用いた動画中のイヌの情動認識手法に関する検討
○奥村美生,丸野由希(京都女子大),久保孝富,浦優輝(奈良先端大),吉村愛琉,永澤美保(麻布大学)

奥村さんのコメント
 この度は私が目標としてきた学生奨励賞を受賞することができて本当に嬉しいです.授賞式で私の名前が呼ばれた時の光景を今でも鮮明に覚えています.この賞を受賞できたのは,今まで丁寧に指導していただきました先生方のおかげだと思っております.研究活動では様々な挑戦ができて楽しく,充実した学生生活を送ることができました.今後も,目標を高く持ち何事にも挑戦する姿勢を忘れず,頑張っていきたいと思います.

奥村さんから後輩へのメッセージ
 様々なチャレンジをする機会の中で,学会発表は自分の研究に対して質問や意見をいただくことができます.新たな考えを発見することができるので,学会発表という経験はとても貴重だと思います.ぜひ機会があればチャレンジしてみてください.研究においては,自分の決めた目標に向かってとことんやってみることが大切だと思います.

指導教員のコメント
 奥村さん,受賞おめでとうございます.大学院生の研究発表もあった中,学部4年生で学生奨励賞を受賞できたのは,奥村さんの研究に対する熱意や日々の努力があってこそだと思います.これからも「らしさをつよさに未来をひらく」本学の卒業生として,誇りを持って挑戦し続けてください.奥村さんのご活躍を心より応援しております.

卒業式の日に研究室で撮影(左:奥村さん、右:指導教員)
学生奨励賞の賞状と副賞の楯