現代社会学科公開講座「国際協力と私―支援する女性と支援される女性―」の報告

2015年6月6日(土)に開催された公開講座「国際協力と私」について報告します。前日にルワンダから帰国し会場に駆けつけて下さった梶田さん、20年以上ケニアのガリッサでNGO活動を続けてこられた土方さんに、国際協力の現場を女性の視点から語って頂きました。

「女性の視点からみた国際協力」: 現代社会学部教授・戸田真紀子

「東アフリカの国々でのそれぞれのルール」: 青年海外協力隊元隊員、キガリ図書館ボランティア職員・梶田三佐江

「あなたの善意は届いていますか?」: ケニア政府公認NGO ミコノ・インターナショナル副所長・土方栄子

 

戸田は、日本がなぜ国際協力をしなければならないのか、国際協力のアプローチにジェンダーの視点をなぜ入れなければならないのかを説明し、近代化論からWIDアプローチ、GADアプローチへの変遷や、途上国の女性の置かれている状況などを話しました。

梶田さんからは、まず、東アフリカ共同体を構成するケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジについて、それぞれの国の経済状況や人びとの暮らしについてのデータが示されました。次に、所得が増加すると娘を学校に行かせる余裕が生まれ、女子教育の増加は生活の質と女性の地位を向上させ、それによって女性の社会参加が進み、女性の活躍は経済を更に成長させ、より所得が増加するという「経済成長とジェンダー」のサイクルについての説明がありました。そして、ルワンダにおける女性の環境改善への取り組みが紹介され、まとめとして、それぞれの国に沿った支援の必要性を次のように訴えられました。

  • 支援は一方的なものではなく、相手のニーズを取り入れたものでなければならないが、その主導は現地の人が行うのが良い。
  • 新しい取り組みに積極的な国民性とそうでない国民性がある。支援はそれを考慮した上で取り組まなければならない。
  • 現状の課題のみに囚われるのではなく、今日までの取り組みを評価し、効果的であった手法を更に広げることが大切である。
  • 長期的視点で取り組む必要がある。

最後に、土方さんから、ケニアの北東部に住むソマリ人の状況、学校建設・医療巡回・奨学金・井戸掘り・太陽光発電・植林・自動車整備士養成・ミシン教室といったミコノ・インターナショナルの活動内容、募金をした先進国の人びとの期待を裏切り無駄になってしまった援助事例についての話がありました。1986年に土方さんたちが初めてケニアの北東部の中心都市であるガリッサで校舎建設を行った際、現地の人たちと一緒になって工事をしている土方さんたちに対して、地元の学校の先生が次のようにおっしゃったそうです。「今まで多くの外国人がこの国へ来て、いろいろな援助活動をしてくれたが、ケニア人と一緒に汗を流したのはあなた方が初めてだ。私は大変感動している。」アフリカの人を助けようとボランティアを行った人は、逆にアフリカから大きな感動や喜びをもらって日本に帰ってきます。一方的に助けるのではなく、自分たちも助けてもらう活動。これが私たちの活動の原点だと土方さんは話されました。

 

  休憩時間にたくさんの質問用紙が集まりました。時間の関係で質疑応答に多くの時間が割けなかったことが残念でしたが、国際協力の現場で活躍されている日本人女性の話を聞くことは、学生の皆さんにも刺激になったことと信じています。たくさん本を読んで、自分を磨いていって下さい。

 

<当日の講師写真>

 

沢山のご来場に感謝申し上げます2 

↓日本のODAの成果を話す梶田さん

 

d↓ミコノ・インターナショナルの活動を説明する土方さん名称未設定

(文責 : 戸田真紀子)