日高良祐先生にインタビュー

2023年度に京都女子大学現代社会学部に赴任された、日高良祐先生にインタビューしてきました。

Q:簡単に自己紹介をお願いします。

A:日高良祐(ひだかりょうすけ)です。現代社会学部では、メディア文化論を中心に教えています。メディア文化論とは、社会学の一領域で、人と人とのコミュニケーションを媒介するもの全般をメディアとして扱いながら文化を研究する分野です。コミュニケーションの媒介にも様々な形式がありますが、特に私は、音や音楽に関連するコミュニケーションの形式とそこでの技術、使い方を専門に研究しています。例えば、音楽を聞いたり作ったりするときに使う「データ」や「ファイル」が、どのように作られて、使われているのかなど。ゲームボーイを改造して音楽制作をする、「チップチューン」の論文なども書いています。大学の講義ではよく、ポピュラー音楽なんかも取り上げています。

Q:メディア文化論を研究するに至った経緯を教えてください。

A:きっかけは学生時代にやっていたバンド活動です。当時、インターネットが爆発的に普及して、音楽の違法ダウンロードが問題になっていたり、CDは売れなくなるというような議論がなされていたりした時代でした。一方で、自分たちで作った曲をインターネット上にアップロードして、人に聞いてもらうということもできるようになり始めた時代です。音源を作ったり、録音をしたり、ライブハウスで演奏したりする中で、メディアとバンド活動は密接に関わっていると感じました。こうして、音の扱い方や表現方法を、「メディア論」という形で研究するようになりました。

Q:日高先生が編者を務めた、『クリティカル・ワード:ポピュラー音楽〈聴く〉を広げる・更新する』はどんな本ですか?

A:「ポピュラー音楽研究」と呼ばれる分野に関わるキーワードを、それぞれの章でひとつずつ説明している、いわゆるキーワード集です。何人かの研究者の方に声をかけて、書いてもらったものを、私がまとめました。「テクノロジー」や「デジタル」などのメディアに関わるトピックも入れています。基礎編では、ジェンダーや階級、人種、植民地など、社会学や文化を学ぶ上で抑えるべきワードも取り上げています。ジェンダーについての話題は、京都女子大学が「女子大」である理由の本質に関わることでもあります。社会学や文化研究の概説本としても使えるので、ぜひ現代社会学部の学生にも読んでいただきたいです。

Q:最後に、学生に大学生活を送る上でのアドバイスをお願いします。

A:京都女子大学の学生は、私が思っていたよりも、よくしゃべるし、オープンな人が多い印象です。そこが強みであり、魅力です。だからこそ、自分が興味を持っていることの隣の領域にも足を踏み入れてみてください。違う軸から自分の興味のある領域を見ることで、新しい発見があるかもしれません。居酒屋に行くような感覚で、どんどん外に出歩いてみてください。私も、皆さんがその一歩を踏み出すきっかけとなるような講義を目指していきたいと思っています。

日高先生、ありがとうございました。

取材日:2023年5月24日

インタビュアー:現代社会学部学生団体C.S.LINK 柴田麻衣