正木大貴先生にインタビュー

この度、C.S.LINKで正木大貴先生にインタビューしてきました。

Q. 簡単に自己紹介をお願いします。

正木大貴です。心理学の中でも臨床心理学を専門としています。臨床心理は、分かりやすく言うと、カウンセリングや病院の精神科などで心理療法を行うための心理学です。私は病院で臨床を行っていて、いわゆる心の病気・精神疾患を持っている人に対する心理療法がもともとの専門です。

心理学を研究するに至った経緯については,大学入学前後の頃のことです。最初から心理学を目指したわけではなく、2回生の頃に工学部から転部して教育学部の心理学専攻に移りました。なぜ移ったかというと、中学生の頃から映画や小説や漫画を見ることがきっかけで、人の心の機微や人間関係などに関心を持ち、何となく人の心について興味を持っていました。大学に入ってからは工学部の授業で上手く行かないことが続く中で、中学の頃を思い出して心理学を学びたいなと思い、転部し学び始めたわけです。

Q. いま映画や小説や漫画が好きとおっしゃっていましたが、京女生におすすめしたい作品などは何かありますか?

 私、結構サスペンスが好きなんですよ。なので、ちょっと古い映画ですけど『MEMENTO』という作品がおすすめです。これは記憶が10分くらいしか保てない主人公が殺された奥さんを殺した犯人をさがす物語で、記憶を失う系のはしりの作品です。物語の仕掛けとしては人の心をつかむでしょう?記憶が10分しか持たないから体中に刺青やメモを残して殺人が起きた日までどんどん記憶をさかのぼっていく、という。サスペンスと記憶の不思議さを知れる面白い作品かなと思います。

 あとアニメで『サマータイムレンダ』という作品もあります。これはタイムリープもので、これも主人公に好きな幼馴染がいて、その子を殺した犯人を突き止めようとするお話ですよ。おすすめはこんな感じですかね。

Q. 正木先生のゼミは人気で毎回定員を超えているイメージがありますが、授業を行う上で心掛けていることはありますか?

なるべくリアリティを持ってもらうようにしています。専門的な用語を多く用いて知識を蓄えてもらうよりも、日常生活の中に落とし込めるような知恵や理論を説明する際にも、友人関係や恋愛関係など具体的な例を出しています。学生が日常生活においてリアルに感じているであろうことについて話すことを心がけています。

Q. 今後の目標や夢を教えてください

これといった夢は正直ないですね…。でも決して目標や夢を持っている人を否定するわけでないし、茶化すつもりはありませんが、目標や夢がないと生きていけない、生きる価値がないと感じてしまうのは違うのではないかと思います。別に夢や目標がなくても生きていくことはできます。学生でも夢や目標がもてないという方は多いのではないかなと思います。

個人的なことで言うと定年までは働きたくないですね。健康なうちに引退したいです。死ぬまで生涯働くというのが良いという人もいるけれど、私はボロボロになるまで働きたくはないです。

Q. 最後に学生にコメントやアドバイスがあればお願いします。

皆さんの多くは卒業後仕事を持つことになるでしょう。仕事を持つと大変なこともありますが、心と身体をすり減らしてまで仕事をする必要はありません。「いつでも辞めてやるよ」という気持ちで、あまり一つの仕事にこだわり過ぎなくてもいいのではないかと思います。実際に卒業生でも、調子を崩してボロボロになってしまう人は少なくありません。それを見ていると、体を壊してまで無理しなくていいよと思います。「仕事は人生の暇つぶし」ですよ。それよりも自分の心と身体と命を大切にすることが何よりも大切なことです。

正木先生、ありがとうございました。

取材日:6月28日
現代社会学部学生支援団体C.S.LINK
インタビュアー:小央悠加 樋口瑛美