環境政策(諏訪)ゼミ 奈良の奥座敷(下北山村)でゼミ合宿

 諏訪ゼミ(演習Ⅳ)では、ゼミ合宿として、10月11日(火)、12日(水)に奈良県下北山村を訪れました。下北山村は、奈良県の南東部に位置しており、京都駅からは片道約4時間かかります。村の面積の約半分は、「吉野熊野国立公園」に指定されており、四方を山に囲まれている自然豊かな村です。

 今、諏訪ゼミでは「小又川水力発電所の紹介動画作成プロジェクト」として、奈良県下北山村の小又川水力発電所と、これが位置する下北山村に関する動画を作成しています。今回の合宿は、発電所の見学と動画の素材集めが主な目的です。
 なお、小水力発電というのは、一般的には発電量が10,000kW以下の水力発電で、再生可能エネルギーの一つです。ちょっと地味な発電方法だし、下北山村も京都から遠そうだし・・・という気持ちもありましたが、そうはいっても、しっかり村役場や現地の方々と事前準備を行ってからの合宿突入です!

10月11日、合宿初日。  
 午前7時45分に京都駅八条口に集合。メンバーの半分以上は、とても眠そうでした(中には5時台に家を出発した人も…)。予定通り8時にバスで京都を出発しました。

 下北山村に近づくにつれて山が深くなり、カーブもきつくなってきました。
4時間の長旅を経て、正午前に下北山村に到着。
昼食は、地元に最近できたおしゃれなログハウスのレストラン「アングラーズベース下北山」でハンバーグセットを頂きました!

(アングラーズベース下北山のハンバーグセット)

 ランチの後はバスで小又川水力発電所に移動し、施設内を見学しました。元々村営であった小又川発電所は98kWの小水力発電所です。ちなみに、戦前・戦後の日本ではこういった小規模の水力発電施設が生活を支える電源として活躍していたそうです。小又川水力発電所は長らく下北山村が運営していましたが、施設の老朽化により存続が危ぶまれていました。そこで、2018年に下北山村と「(株)コープエナジーなら」が「包括連携協定」を結ぶことにより、設備更新が可能になりました。この結果、現在は(株)コープエナジーならが事業主体となり運営しています。
 更新工事を受けて、取水口の改良によって取水量を増やし、さらに水圧管路を1本追加したことで、以前の倍の水量を取りこむことが可能になったそうです。取水口は、発電所から10分ほど歩いた山の中にありました。

(小又川水力発電所取水口)

 見学後は再びバスに乗り、地元民に愛されている池神社の参拝をした後、元々保育所だった施設を2017年にワーケーション用に改修したコワーキングスペース「BIYORI」に向かい、下北山村についてのレクチャーを受けました。

(レクチャー後の歓談タイム中)

 また、下北山村の特産品である「下北春まな」の農家さんの畑にお邪魔し、植え付け前の春まなの苗と種を見せていただきました。春まなは、カルシウムや鉄分などのミネラルが豊富ですが、12月下旬から2月までしか収穫できないため「幻の野菜」と呼ばれています。

(下北山村特産「春まな」の苗)

 午後の活動が終わり、お待ちかねの夕食はBBQでした!
お腹がいっぱいになる頃、頭上には満天の星空が広がっていました…!

(BBQの幕開け)
(写真では伝えきれない星空…!)

10月12日、合宿2日目。  
 前夜楽しいBBQを行ったこともあり、「朝寝」組と「朝活」組が発生しましたが、朝活組は宿泊場所から車で約40分移動し、「不動七重の滝」を見に行きました。不動七重の滝は深い山間から七重となって落ちる前鬼山中最大の滝で、日本の滝百選にも選ばれています(なら旅ねっとHPより)。深い山道の先に突如現れた滝からは、遠くからでも迫力を感じることができました。

(不動七重の滝)

 2日目は、下北山製材所の見学にも行きました。下北山村で伐採した木を加工し、建築材をはじめ、机やまな板などの生活用品にも加工しているそうです。木によって色や香りなどの特徴が異なることに驚きました。また、製材の現場では、施設のランニングコストや、木材や木材を加工する時に出る「おがくず」を廃棄する時のコストをどう削減するかなどの課題があることを知ることができました。

 林業や製材業って深い、という感情が湧いた後は、桜・杉・ひのきの3種類の端材を使った木工細工のストラップを作りました。

(作成したストラップ~ひのきの葉を添えて~)

 昼食のお弁当を河原で食べた後は、合宿のフィードバックを行い、きなり館(奈良県や下北山村のお土産や春まなソフトが食べられる道の駅)と湛水面積・総貯水量日本一のアーチダムである池原ダムに寄った後、下北山を出発しました。18時に京都駅に到着し、これにて合宿は無事終了です。

 下北山村は、「便利」とはかけ離れた場所ですが、澄んだ空気、綺麗な水、大きな森林など豊かな自然を肌で感じることができる、そして、そこに住んでいる方々の温かさに触れることができる本当に素敵なところでした。事前準備を通じて、下北山村について調べれば調べるほど行ってみたくなり、実際に合宿で現地を訪れることで村の良さに触れれば触れるほど、どんどん好きになる、そんな体験をすることができました。  
 また、私たちの学年は、大学入学と同時に新型コロナウイルスが流行し、オンライン授業が多かったため、同学年でさえも交流の機会が少ないという特殊な学年です。前期のゼミでは、交流する機会を設けることが難しかったため、今回の合宿では、ゼミメンバーの親交を深めるという目標もありました。2日間行動を共にしたことで、メンバーの様々な面を知ることができ、普段話すことがなかったメンバーと話をすることができて親交が深まったと感じています。とても充実したゼミ合宿になりました。

(文責:亀田温子)