こんにちは.宮下です.
今回で6回目を迎えるICTトラブルシューティングコンテストが,8月27日と28日の2日間に亘り,NTT西日本をプラチナスポンサーとして大阪で開催されました.このコンテストはICTシステムの運用技術の中でも特に難易度の高いトラブルシューティングのスキルを競うもので,高専,大学,大学院の学生がチームを作って臨みます.トラブルシューティングのためのICT環境の構築や運用,コンテストのための問題作成や当日の運営なども実行委員の学生たちが担当し,ICT企業の「大人」たちはこれに協力しながら温かく見守るという体制で開催されています.
今回のコンテストには15チームがエントリーしました.工業高専や工学部,大学院生など情報系の学生が集まる中,ひときわ目立つ「現代社会学科」という名前,しかも唯一の女子チームでした.
他のチームには女子がいないか,いても1名という,とにかく女子率の低いコンテストの中でこれは目立ちました.しかしこういう社会を変えていくために本学部は情報系に注力しています.いずれ男女比が1:1のコンテストになってほしいものです.
今回参加したのは本学科の情報プログラム科目「応用ネットワーク」を受講している3回生3人で作ったチーム「PC小町」です.「応用ネットワーク」では,このコンテストでも使われているCisco社のネットワーク機器を利用した実習を行っています.しかしトラブルシューティングそのものを授業で扱うことはないので,彼女たちは夏休み中に勉強会を開いて準備をしていました.
コンテストは2日間,朝から夕方までトラブルシューティングを実施します.チームごとにスイッチ1台とルータ2台で作られたネットワーク,IP電話1台と問題に応じてクラウド上にVM(仮想化されたサーバ)などが用意されます.これらを利用した問題(何らかの不具合のあるシステムやサービス)が示され,その不具合を解決して原因と解決手段を報告しそれが採点されるという形で進められます.問題はVPNやIP電話,WWWサーバ,CloudStackによる仮想基盤など異なるレイヤにわたる幅広い知識とスキルが求められるものでした.
1日目の終わりには懇親会,2日目の夕方にはスポンサー企業によるセミナーが開催され,各チームの学生どうしや学生と企業の交流が盛んに行われました.スポンサー企業から来ている人の中には過去のコンテストに参加したことが縁で就職した方もいました.私もたくさんの企業の方々とご挨拶しましたし,皆さん一様に女性エンジニアを求めてらっしゃいました.
最後には1位から3位までのチームが表彰され,それぞれ盾や賞金を受け取っていました.残念ながらうちのチームは入賞できませんでしたが,参加賞としての各社ノベルティや書籍,そして楽しかった思い出ともっと勉強しようというモチベーションを手に会場をあとにしました.以下,今回参加した3人のコメントです.
井上さん:「最初は不安や心配なことが多かったですが、出場したことで普段することができない経験ができました。問題は難しかったですが、こういうトラブルが現実に起こり得るということを学ぶこともできました。自分の知識不足を実感しましたが、楽しんでコンテストに参加できたので、やってみてよかったなと思います。」
新谷さん:「問題に苦戦し、自分の知識の少なさに改めて気付かされました。しかし、今回出場したことで、新たな気づきもありいい経験になりました。なりより、楽しかったので出場してよかったと思います。」
山崎さん:「コンテストのために調べて初めて知った技術や、講義で使っている機材でも、あらためて「この子、こんなことまでできたんだ!」のような発見がたくさんあり、とても楽しかったです。でも、問題はとても難しかったので「もう少しわかるようになりたいな」という悔しさもありました。最初は出ることに迷いもありましたが、出てみてよかったと本当に思います。」
最後になりましたが,ICTトラブルシューティングコンテスト関係者の皆さんお世話になりました.ありがとうございました.
追記:今回のコンテストの成績が後日届きました.それを見た学生さんたちは「案外,イケてた」という印象だったようです.また,「もう少し粘っていればもっと上が狙えた」という悔しさもあり,「できればもう一回出たい」という気持ちが芽生えているようでした.